好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

95歳の人形作家

手編み人形作家の柿原寿恵さん(95)の個展へ。人形はたった1本の糸で編み込んで仕上げるもの。胴体部分、鼻や手指。さらに洋服、靴、帽子まで。色合いが薄く淡い上、目や口は刺繍で線描きのようにしているため、穏やかで優しい表情の人形です。

テレビドラマ「大草原の小さな家」に出て来る少女のよう。柿原さんのオリジナル。「だから続けないとダメ、続けることに意味があるとやってきた」。

会場には所狭しと並んでいました。

作り始めたのは50代。まずはデッサンから。始めたのが65歳。やっていくうちに色をつけたくなり、同じく65歳から始めたのが絵画でした。今も現役。

19歳から30歳まで銀座で美容師として働き、そこでの出会いが人形作りに大きな影響を与えました。独立して美容室を持ったのは30歳。結婚しての娘ができたのを機に店をやめ子育てに専念することにしたものの夫が心筋梗塞で倒れ介護は3年間続きました。

こんな日々で支えになったのが近所の人に手編み人形づくりを教えることだったのです。

生き方に惹かれます。人形教室の生徒さんは9人も。なぜ続けられるの?「好きというより自分が始めたからやめられない」

なんでも始めたら10年以上は続け、常に新しいものを取り入れます。「これでいいというのでなく、違うもの、変わったものにどんどん挑戦する。同じモノを作っていたのでは長く続かないから」

暮らし方も必見。若い頃から歩くときは大股。電車に乗ったらつり革につかまらず、バランスをとる工夫をします。

食事の制限は塩分を控える程度でいろんなものをいただきます。

寝るのは午前1時。夜11時になると新聞の朝、夕刊のコラムを携帯に打ち込むの日課。もう40年になりました。1時間はかかります。打ち終わったら即削除と、その繰り返し。指の運動になり、頭の体操にもなるから。分からない言葉は検索し、新しい表現におやっと思ったり。新たに知ることを楽しんでいるのです。

「生で何か二つはやっておくことでしょう。ひとつ出来なくなってももうひとつある。希望があるから」

日々の努力あってこその賜物ですね。

私はその歳まで現役でいられるだろうか。大いに疑問です。