好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

コロナで休校した高校の校長からの手紙

インターネットからイタリア・ミラノのヴォルタ高校校長の生徒への手紙(簡略しています)を紹介します。私たちに何ができるか考える一助になるのではないでしょうか。

この高校は新型コロナの感染を食い止めるため休校となっています。

 

「17世紀のペストの流行を扱った作家マンゾーニの小説『いいなづけ』は、啓発的で素晴らしい文章で、混乱のさなかにある今、ぜひ読んでみることをお勧めします。

本には、外国人を危険だと思い込んだり、当局の間の激しい衝突や最初の感染源は誰か、といういわゆる『ゼロ患者』の捜索、専門家の軽視、感染者狩り、根拠のない噂話やばかげた治療、必需品を買いあさり、医療危機を招く様子が描かれ、今日の新聞を読んでいるような気にさせられます。

私たちの高校は、私たちのリズムと慣習に則って市民の秩序を学ぶ場所です。強制的な休校という当局の判断を評価はできませんが、判断を尊重し、指示を子細に観察しようと思います。

 

そして皆さんにはこう伝えたい。冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれないこと。予防策を講じつつ、いつもの生活を続けて下さい。せっかくの休みですから、散歩したり、良質な本を読んでください。体調に問題がないなら、家に閉じこもる理由はありません。スーパーや薬局に駆けつける必要もないのです。マスクは体調が悪い人たちに必要なものです。

 

世界のあちこちにあっという間に広がっている感染の速度は、われわれの時代の必然的な結果です。ウイルスを食い止める壁の不存在は今も昔も同じ。ただその速度が以前は少し遅かっただけなのです。

 

この手の危機に打ち勝つ際の最大のリスクについては、マンゾーニやボッカッチョ(ルネッサンス期の詩人)が教えてくれています。それは社会生活や人間関係の荒廃、市民生活における蛮行です。見えない敵に脅かされた時、人はその敵があちこちに潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような人々も脅威だと、潜在的な敵だと思い込んでしまう、それこそが危険なのです。

 

16世紀や17世紀の時と比べ、私たちには進歩した現代医学があり、それはさらなる進歩を続けており、信頼性もある。私たちが持つ貴重な財産である人間性と社会を守っていきましょう。それができなければ、本当に ‘ペスト’が勝利してしまうかもしれません。では近いうちに、学校でみなさんを待っています」