8月のエッセイ塾
佐伯京大名誉教授の論文「育成の衰弱は文化の喪失」(東京新聞8月1日付け)について交流
ジャニーズ事務所の元社長によるタレント志望の少年たちへの性的加害について論じています。
問題の背後には、わが国の文化の最前線があまりに幼くなっているのではないかと指摘。背景には少年、少女を人気タレントに仕立て上げ、利益を生み出すという我が国のエンターテイメント文化の現状があること。
「かっこいい」「かわいい」が「価値基準となり、商品価値が生まれれば、メディアもそれを後押しする。少年・少女たちが市場に舞台に乗せられ、社会や文化の主役となり、音となが迎合する。
今日では「若いこと」が価値観を持つ。「新しいこと」が勝ちを生む。かつてはあたかも水滴がたまるように、経験や知識の蓄積とする、ゆったりと流れる時間が大事であった。今日では経験や知識の蓄積は余計なもので禰時代の変化に対する軽やかな反応こそが価値の源泉となる。
年寄りは役立たずの存在になる。今日の文明が陥った「幼児化」というべきものであろう。
情報化という現象は常に新しさに価値を求め、常にアップデートを要請され、「上書きむされなければならない。
人も社会も同じでアップデートされ、「上書き」される運命にある。こうしてわれわれは「上書き文化」に浸っている。
だが、時間の中でゆっくりと経験を積み、吟味し、反復し、校正するという習慣の衰弱は「文化」の喪失を意味している。
文化とは、あたかも土地を肥し、植物を育てるように、時間をかけい人の精神をゆっくり育てるものだからである。
どうでしょう。考えてみたい問題ですね。