好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

変わる

「人は変わる」といいますが、その意味することを初めて知った気がする。シングルの作家松原惇子さはヒット作『クロワッサン症候群』で家庭に縛られない女性の自立をうたった方。60歳を過ぎ、シングルでない生き方もいいのではないかと思うようになっていた。「ひとり」を選んだ以上、何があってもガムシャラにやるんだという尖った進み方ではなく、孤独死が取り沙汰される今日、できたら遺体は3日以内(!)に見つけてもらえるよう隣近所に目配りし、気を使って生活するべきなのだと力説した。
「人は変われる」というが、ハンセン病患者のDさんには、まいった! 7歳で発病。手足が不自由だが、「私をもっと知ってほしい」と、どこへでもでかける。私の主宰するフリースペース「すてーじ・刻」の11月のイベントにはタクシーで駆けつけてくれ、ちょうどお手玉うさぎを縫っていた人たちに、丁寧に自分のことを紹介し、「聞いてもらえてよかった」と、それはうれしそうだった。「病気を知らないことで誤解が生まれる。知らせるのが私のやるべきこと」というのが口癖。知ってもらうために自分史を書こうと70代でパソコンを駆使するまでに。「人には可能性がある」というDさんの言葉に、可能性というのは生かそうとしてこそ生まれるものだと知った。
「人には変わらなくていいものがある」ことも教えられた。弁護士の話から。
これからを生きる私たちとしては、夫婦というものに意味深になっているところ。そこにズバリと言われた。「夫婦はもとは赤の他人。互いにすべて知り尽くそうなんて思わない方がいい。育った環境も何もかも違うのに共同生活を始めたのだから一心同体なんてあり得ないことは望まない方がいい。強要しようとするからおかしくなる」(そうだそうだ)「それぞれ違う文化をもって生活し成長してきた者が共同生活に入るのだから、協力し合いながらもっている文化を作り出すくらいでないとだめ」(ほっとしたけど、そりゃ大変だ)。