好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

生きていくには

毎年第九の合唱・コンサートに呼んでくれるのは86歳のAさん。ガンの闘病中です。いつ舞台から降りなければならなくなるか、不安がないと言ったらウソになると言いますが、毎年、第九が歌えることを生きる糧としています。

 

声が出ない、朝起きられない、激痛が走る……。並べればとどまることがありませんが、歌い続けられるよう生活を、身体を整え、周りに迷惑がかからないよう気づかいつつも、かかるであろうこともよしとして、舞台に立ちます。こうして「宣告」から数年年が経とうとしています。

 

迷惑がかからないようにと、人一倍考えてしまう私たち。動物や鳥は生まれ落ちたとたん、ひとりで生きていくのに人間はどうでしょう。赤ちゃんのときはお乳をもらって食べさせてもらうし、学校に上がれば、教材やらなんでもかんでも用意してもらわなくてはならない。年齢を重ねると誰かの世話が必要になる。

 

だから「迷惑をかけないで」なんて思わないこと。しょせん人間は迷惑をかけるようにできているんですから。