好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

江戸庶民のしぐさに学ぶ

江戸しぐさ」ってご存じですか。エチケット集ではありません。上に立つ人のしぐさです。「気持ちよく生きるための知恵であり、心構え」といえるでしょう。

「こぶし浮かせ」をご存じですか。江戸時代、渡し船では後から乗るお客のためにこぶし分だけ腰を浮かせて席を詰めました。

では「七三歩き」は?。江戸では道路は7割が公道、自分が歩くのは3割と心得ていたのだそうです。急ぎの人や荷車の邪魔にならないよう気を配ったわけす。

鎖国が解け、異文化を持つ人が江戸に集まるようになったとき、どうしたらトラブルを避けて平和でそれぞれの店が繁盛するか、ひいては国が良くなるか、町方のリーダーが知恵と工夫を磨いて考え出したもの。

つまり人としての生き方、考え方の方向づけで、ここには対等な人間として互角に付き合うという精神が根付いていました。

注目すべきは予防医学的な処方箋でもあったこと。やってしまってからどうしようではなく、そうならないためにどうするか、そのための目つき、口の利き方、身のこなしだったのです。

江戸っ子が「そんなこたあ朝飯前」と言います。朝飯前にする仕事があるのです。向こう三軒両隣の様子うかがいでした。どぶ板がはずれていないか、母子家庭やひとり住まいの人はちゃんとご飯を食べられているか、さっと見て回る。それからが朝ご飯です。

午前中仕事をしたら、麻見回りをしていたときに気になったことを解決していく。傍の人を楽にする「働き」をするのです。いわばべランティアですが、人として一番評価されたのが、この「働き」でした。

庶民の様子うかがいなんてとんでもない、やりたい放題のヤカラに問うてみたい。上の立つ人のしぐさってわかってる?