数学者の森毅さんの著を読む。よく「子どものくせに親に向かって」とか「できもしないくせに、文句ばかり言って」というが、それは自分が子どもでだったり、できもしないからこそ言い分があるのであって、もしも親だったり、なんでも完全にできるのであれば文句はいわないだろうと。そうでない立場であるからこそ言い分があるのだという。ナントカのくせに発言するのは、ナントカでなくなってしまってからでは意味がない、ナントカだからこそ今、モノをいうのだと。
人はどんな条件でも自分の意見を主張する権利があるし、行動を律する責任がある。そのときの条件とは、「そうした条件があるくせに」とマイナスの働きをするべきではなく、「そうした条件があるからこそ、とプラスに働くべきもの」と話していた。
「女のくせに」「年とっているくせに」-。そうかあ。言っていいのだ。気の小さい私はほっとした。