好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

言葉の面白さ

竹取物語かぐや姫は、罪人で思いやりに欠けた残酷な面をもつ嫌な人だった」―こんな暴露をしてくれたのは、『日本語の古典』(岩波新書)の著者・山口仲美明治大学国際日本学部教授。インタビューに行きました。テレビ「世界一受けたい授業」で見た方もいるのでは。言葉を切り口にした古典の面白さを話してくれました。
作品のテーマが変わっています。徒然草は「兼好は女嫌いか」、東海道中膝栗毛は「シモネタの生む解放感」など。自分の関心でした。
「古典は切り口によって楽しいことがいっぱいある。真正面から見ていた人を横から見ると違って見える。現代しか知ららないと現代の価値観が絶対だと思うが、古典を読むと違った価値観を知り、物事を相対的にとらえる目が養える」と山口さん。
竹取物語の原文は、平安時代に口で伝えられてきた話をもとに男性が書いたものでした。男性だから漢文訓読調で、「へど」「糞」など荒々しく粗野な言葉が随所に出てきます。かぐや姫は月から人間界に追放された罪人で、人の失敗を声をたてて笑う冷酷な性格だったのが、人間界で暮らすうち常識をわきまえた人に成長していったんですって。グリム童話のようでした。
山口さんがやる気のない学生たちを奮い立たせたのが平安時代いろは歌の現代版。「色は匂えど~」のあれ。当時存在した47音を1回だけ使って文を作るものですが、現代は44音。予想を裏切って楽々と「平成いろは歌」を作る学生たちにドッキリでした。
お笑い下さい。
「旅に出()で 女の尻つきまとう 骨抜かる我は すけべ野郎 悪も知恵さ 夢見せ他(よそ)()()」「飢へたわ 今日(けふ)のお夕ご飯 何にします? 味噌餅やカレエ飽きぬ せめてサッポロビールと練りイクラよ」「バイトのコンビニ 時給安 つらさ耐へ願ふなり 上げてくれ 余所(よそ)見ろ マヂ吠えぬも責めるわ」「我が身に呆れろ 腹尻おほ太(ふと) 瘦せるぞ夢のエステへ行こう まぬけよ 胸も小さくなった」
 画一的にものを見たらだめだということですね。