好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

樹木葬

お墓のこと、葬儀のこと、気になっていませんか。そんな関心から取材に。

3月、東京で満開の桜の木の下で合同葬祀が行なわれていました。遺骨を土に還す樹木葬のひとつで「桜葬」。桜の木の下に個別区画を持つ集合墓で、一本の桜の下に皆で眠り、皆で集うもの。3千人近くが契約しているとか。

取り組むNPOエンディングセンター理事長の井上治代さん(東洋大教授)にインタビューしました。

井上さんは自身が、親の葬儀で疑問に思うことが多かったことから、「こうありたい」という葬送を実現させたのだそう。ここまで10年近い歳月がありました。

「桜葬」の特徴は、自然志向で、家族の継承者を必要とせず、一緒にお墓に入る人は自由。夫婦とその友達、友達同士、ペットと一緒等さまざま、家族を超えた縁で結ばれています。

子どものいない人たちと思いきや、七三%が子どもあり。実は「墓の跡継ぎ問題は自分の代で終わらせたい」という強い願いからですって。

「血縁を超えた結縁でつながるゆるやかな共同性」と井上さん。

実はここでは新たな結びつきがどんどん生まれていました。「墓友」です。大切な人を亡くした人たち同士の語り合い、死をまじかにした人たちは辛さをどう乗り切ってきたか、体験者の話に救われることも多いとか。ここでは「死」を堂々と語ることができるのです。

今、「もうひとつのわが家」プロジェクトがスタートしていました。ほとんどの人が独居になる今日。何か起きたときに、家族のように受け入れてくれる場づくりでした。

「ひとり世帯がトップになるほど家族機能が弱まっているのに墓や葬送には家意識が以前残っている。今はこれに代わる社会システムが必要な過渡期と思うし、自分の生き方に合った葬送の形があるはず。分かっているけど親戚、兄弟といさかいを起こしたくないと悩む方もいますが、一歩踏み出すと楽ですよ」と井上さん。

 死者も自立が求められる時代なんですって。