好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

年金がねらわれているぞ

高齢期に、自分のお金を自分のために使えない人が増えていることをご存知ですか。
 高齢期の方の相談にのっている六十代の女性社会保険労務士の話です。 
 多いのが、年金が入金されない、誰かに年金を取られたのではという相談。記帳忘れもあるものの、お金の管理ができなくなったのを心配した家族が管理しているケースがあるかと思えば、高齢者本人に不安だから預かっててと頼まれた子どもが自分の生活費に使っているケース、父の遺族年金を受けている母の年金を、父からの相続と勝手に解釈した子が自分の生活費に当てるケース等いろいろだそうです。
 少なくても、継続的に入金される年金の有り難さを知っているのは私たちだけではありません。ライフプランは万全だったのにお金が消え、施設に入居できない事例も。親子間でお金のことを話せる関係づくりと、互いに倫理感を肝に命じる必要があるようです。なにしろお金の不正(経済的虐待)は、施設従事者より親族の方が多いらしいですから。
 彼女が多くの高齢者に接して学んだのは、「これまでの生き方が正直に出るのが高齢期。学歴、肩書が通用しなくなったときこそ、その人が積み上げてきた生き方が出る」こと。
 団体生活となる高齢者施設で苦情ばかり言っていると周りとうまくいかず居心地が悪くなるもの。彼女が施設等で好かれている人から得たヒントは次の三つ ①控えめにする(どうでもいいことは聞き流す、余分な一言は言わない)。施設で存在感がある人たちに共通しているそうです。②その場を楽しむ。せっかく参加したのに誰とも話さない人は周りが気にします。③お金は上手に使う。高齢期こそお金の使い方は上手にしたい。大盤振舞する必要はありませんが、感謝の気持ちを伝えたいときや当然払う必要があるものへの支出は惜しまないこと。お金の使い方で自分の意思が伝わるからです。
 まだ先のこと、暗い話は考えたくないと先伸ばしにしていると、ある日突然思わぬ事態に遭遇するかも知れませんよ。