好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

夫婦のあり方

はらたいらさんの奥さんから手紙をいただいた。さきごろ亡くなったはらたいらさんを偲んで出版した「はらたいらに全部」という本とともに。1昨年からはらたいらさんと取材してきた日々が思われた。
この題名はクイズダービーからとったものだなあと納得。はらさんと仕事のやりとりをしていて、いつも感じていたのは、奥さんあってのはらさんだったことだ。だだひたすら漫画を描くことのみ考えて突っ走っているはらさんのそばにはいつも奥さんがいて、仕事上生じるあれこれをすべて奥さんが対応していらした。それにしてもはらさんとの仕事は楽しかった。真正面から対象に向かう姿勢が、とてもすかすがしかつた。そして、更年期とがっぷりよつになってたたかってこられた体験から、自分の思うままに、やりたいことを貫いて生きること、力を抜いて、好きにやること、を教えていただいた。この年齢になれば、もうかっこなんかつけるなよといいたいのだ。そうなんだなあ。どうして、かっこつけて、肩をついついいからしてしまうんだろう。感じ入ることが多かった。そしてお酒も気持ちいいほどグイグイやられる。飲みたいものを飲んで、うんと仕事をする。それで本望なのだと。納得している仕事をしているか、とふいに聞かれたように思った。お礼の電話をすると奥さんから「全部書いちゃったのよ」と言われた。たぶん本をめくる人は、特に若い人はええっと思うこともあるかもしれない。奥さんは子どもよりなにより、まず「夫大事」で生活してこられたからだ。だからはらさんはご飯をよそうことも、ガスをつけることもできない。すべて奥さんがやられるからだ。そういえば取材で都内の
駅に待ち合わせしたとき、奥さんがはらさんと同行していらした。はらさんは電車に乗ったことがないからだとか。実はそんな奥さんは高校生のときは学生運動の闘士だつたとのことだ。以前はらさんと飲んだときも、はらさんはそのことを楽しそうに話してくださった。全く違う「世界のようなお二人の生き方、いろんな夫婦のあり方があるが、こんな世の中だからこそ、そ感じることの多い本だと思う。ぜひ多くの人に一読してほしい。