好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

生きている理由は幸せを見つけることではない

 

安積遊歩さん(62歳)と長女・宇宙(うみ)さん(22歳)の共著『多様性のレッスン』のトークショーがありました。ともに骨形成不全症という障害があり、車椅子。

 

骨が十分成長せず、ささいなことで骨折します。遊歩さんは13歳までに20回近く骨折。生まれてから2歳まで男性ホルモンを2日ごとに打たれ、手術は8回。もうやめてくれと医師に直訴したのは13歳のときでした。「じゃあ、やめましょう」とあっさり言った医師。

「これまでの手術はなんだったんだ」と憤った遊歩さん。「今、自分の体の自己管理をきちんとできるのはこのときの怒りと不信をバネにしている。曲がったものは醜い、障害は治さなくてはならないと決めつけるが、同じ人間だということを忘れていないか」と訴えます。

自分の体の主人は自分。医師はサポーターでしかないと食べ物に気を付ける等切り抜けていて、宇宙さんも同様のようです。「この体で生きるということは体の声を聴くこと。これは、弱い立場に置かれている人の声を聴くということでもあり、自分のためが人のためにもなる」と話します。

 

2人が問いかけたのが「普通とは何か」。障害のために「普通」を強いられたけれど、人に頼ることは、自分も誰かに頼っていいんだと思える人を増やすこと。まずは 自分はここにいる必要のある存在なんだと決断する。自分が自分を肯定できなかったら先にすすめないということでした。

 

さらに引き付けられたのは「生きている理由は幸せを見つけることではない」と宇宙さんが言い切ったこと。

「消費する幸せの元をたどると環境問題があったり、誰かを搾取していることが多い。そんなもので幸せにはなれない。自分が居心地のいいことが誰かの居心地につながるようでいたい」

原発や環境汚染問題に関わっているのも、死や病気への恐れからではなく、生きようとする意志に対する妨害であるからたたかうのだと。

「この社会にどうなってほしいか、どんな社会に住みたいか、そのためには何をしたらいいか、考えて生きていきたい」。二人のメッセージです。