好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

高村薫で読書室

10月の「女性作家で読む読書室」は高村薫。時事的なものやサスペンスが多いのですが、今回はある女性が息子に出した100通もの手紙を駆使した『晴子・情歌』を主に取り上げました。

主人公が生まれた時代は戦争ただ中。5・15事件等不穏な空気のころで、ひとりの女性が10代である富豪の家に下働きに出て家族を養いつつも、向学心を強く持ち、凛として志を揺るがすことなく生きていく姿は、あの時代を思うと特別な存在のような気がします。

働く家の主人の子を身ごもり、その家で育てていくのも、当時としては特別な出来事ではなかったのでしょうが、卑屈にならずに、自分をきちんと持ち、よく生き抜いていることに胸を打たれます。

そんな中でも心を許せる男性がいて、ひそかに生涯慕い続ける思いは、生きる支えになったのではと感じさせられました。

 

それにしてもこんな赤裸々なことを息子に伝える母親がいたのですね。

 

次回の読書室は1月ということもあり、百人一首式子内親王新三十六歌仙のひとり。後白河天皇の皇女。恋多き女性とされています。

f:id:office2b:20191027120429j:plain