好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

顔を見つめてから一日の始まり

人生にはターニングポイント(転機)があります。
長野に住むAさん(六十代)の見事さに驚きました。
最初の出会いは、Aさんが私の雑誌の読者になったとき。当時は別荘住まいでした。私の主宰するスペースのようなことをやっていきたい、集いを開くからと呼ばれました。    
 洒落た別荘は、夫の仕事の関係で別居が長かっただけに、退職後はやっと一緒に暮らせるからと好きに設計して建てたもの。ところが住み始めて一年もせずに夫が病没。ひとり暮らしをエンジョイしようと模索しているところでした。
 数年後、引っ越していました。畑、田んぼに隣接するこじんまりした古い家。別荘は調度品ごとあっさりと手放して。
 自身のかかった病気を、食や暮らし方すべてを見直す中で克服しようと猛勉強。無農耕で畑をつくり、家電製品をシャットアウト(テレビ、電子レンジ、炊飯器等もなし)、健康を克服しつつあったのです。
そして先週、一泊させてもらった朝のことです。
 「私を見てて。ここから一日が始まるのよ」と言われ、一緒に座ったのが大きな鏡の前。Aさんの家の中は家具らしいものはなし。大きな鏡が立てかけてある他は食事用のテーブルと椅子、ソファのみ。
鏡とじーっとにらめっこして、顔の左右のゆがみ、体のゆがみを日々点検して手をかけて正していたのです。まぶたがたれ下がっている方の目の下を片手の平で上にグッと押し、一方でその延長にある頭の上を押し続けます。頭の骨は歪んでくるそうで、特に年齢を重ねると前へ前へとずれてくるというから怖い。Aさんは骨格からいじっていたんですね。唇なんか閉じてグッと引き上げるので、百面相みたい。  
 ひとしきり終わると、「ほらっ、左右が整ってすっきりしたでしょ」とAさん。なるほど。キレイになってる。肩の高さも同じになってるなんて。
それから朝食。Aさんが育てた大豆で作った納豆、キュウリともずくの酢のモノ、味噌汁、食べる量だけ毎回精米するというご飯で、たっぷり食べました。