好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

モノによくぶつかるようになった

モノを書くときに悩むのがが表現力のなさ。どうするか。ちゃんとしたプロの作品に学ぶべしと話します。学ぶ相手のプロとは、専門を持っている方の作品がおすすめ。画家、建築家、医師、料理人。いちもつ持つ人の見方は、ドキッとするほど深みがあるのです。

今日のエッセイ塾はそんな作品を学び合いました。次はそんな作品からの抜粋。「貧しかった。子どもたちになんとか栄養のあるものを食べさせたいと母。でも優しさだけはいつも皿小鉢にあふれていた」。こんな優しさの表し方があるんですね。「花や草はなぜ自分から動かないのだろう。なぜ声を出さないのだろう。道端のたんぽぽから白い汁が出ていると、胸が痛んだ。私たちに分からない苦しみ方をしているのだろう。~アリがすれ違いざまに立ち止まって何かを話している。大切な打ち合わせに違いない」そういえば、アリ同士、出会うとしばし立ち止まっている。そうか、情報交換だったんだ。「最近モノによくぶつかるようになった。どうやら気持ちの動きと動作の間にズレが生じるらしい。気持ちばかり先行し、体の動きが追い付かない。だから避けたつもりの体の残りが何かにぶつかり、よけたはずの動作の遅れが衝突を生む」「向こうから近づいて来る人を素早く避けた気でも、よけ方が足りないのか、体の一部が接触する。身はかわしていても相手の下げている紙袋等がどこかに当たる。あわててごめんなさいと謝るのだが、知らん顔して行き過ぎる人が多い。こっちばかりが悪くないのにと恨みがましく振り返る私」そうか、最近よくつまづいたり、ぶつかったりするけれど、こういうことだったか。

取り立てて難しい言葉は使っていないのに、なんとよく表現していること。それもユーモラスだからすごい。