好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

樋口一葉についてインタビュー

新型コロナウイルスの感染が再拡大しているにも関わらず、旅行しろ、金を使えと尻をたたく政府。自治体は「来ないでよ、自粛して」と警告しているのに国は旗振りを依然やめようとしない。結局、私たちに自己責任で勝手にどうぞということらしい。

 

暮らしが成り立たなくなる人が大量に作り出される事態の中、つくつく恐ろしい国だと身震いします。

 

先日、作家樋口一葉の生き方についてのインタビュー。

一葉は終生貧しさの中に生き、差別、貧困という社会矛盾を鋭く照射した作品を書きましたが、その多くを24歳で亡くなる14か月間で書き上げています。

 

父を亡くし戸主として常にお金のやりくりに振り回された日々でしたが、人生の最後、商売に見切りをつけ、執筆に専念する決心をしたときに日記に記したのが「わがこころざしは国家の大本(おおもと)にあり」でした。

 

弱いものがこんなに辛い目に置かれたままなのは国の在り方にこそあるんだぞ、ここをこそ明らかにせずにはおかないと、決意を込めたのではないでしょうか。 

 

転換を求めてほとばしり出たこの言葉は、すでに『たけくらべ』や『やみよ』等の作品が心にあったときのようで、「わがこころざし」の表明につながっているといわれています。

 

代表作『たけくらべ』は、子どものなにげない日常を描きつつ大人社会の非情さを浮き彫りにしていますが、背景には深刻な貧困があることをリアルに示しました。世の中が戦争に浮きだっているときにこんなテーマを堂々と描ききる姿勢に胸を打たれます。

 

今、私たちはどうだろうか。

 

一葉の生きた明治20年代は女性の人権が江戸時代よりも抑圧され、女性の働く場はほとんどなく、精神的にも自立の道を閉ざされていました。

 

一葉と同じように活躍した女性の半分は短命だったとか。でも一葉は立ちはだかる大きな壁の前で、精いっぱい尊厳を主張し続けて生きたのです。

 

コロナの感染者数に一喜一憂する毎日。いかに命や人権が尊いものか、過酷・陰険になってきている貧困と差別を考えていかなければなりません。

「わがこころざし」はいかに。