好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

なければ作ってみる

「女性による女性のための写真学校」を開校したAさん曰く、「女性はこうあるべきという概念を崩す」視点で撮ってほしいと話します。60代です。

 

今や、スマホで簡単に撮れるものの、抗してフィルムカメラ。フィルムで撮る写真の美しさを知ってほしいと力を込めます。

 

ある美容室に飾られている男性に抱かれる女性の写真を見せ、「おかしいでしょ。女は受け身。女は愛されるもので、男は愛してやるもの。夫婦の写真でも夫が妻を保護している形が多い」と苦言。

こんな写真が街のあちこちに。ちょっとどうなのよという視点で見てほしいのです。すると撮る写真も違ってくるはずと言います。

 

写真学校を立ち上げたのは、そんなことに敏感になってほしいからですが、もうひとつ、写真がやりたい女性の願いに沿ったものにしたかったから。

 

「女性は結婚、出産で好きなことをあきらめざるをえず、自分にお金を使うことが後回しになってしまう。私だって安くて勉強できる条件があるなら入りたかったから」でした。

 

写真学校のカリキュラムにはジェンダー論が登場します。女性写真家の眼から見つめ直し、ジェンダーの視点から分析していきます。「日本社会は男性優位で女性が不利になることが多い。でも気付かない人もいる。気付くことが大切なのです分からないままの人もいますがいずれ、こういうことだったのかと感じるときがあるはず。それでいいと思う」。

 

丁寧に写真を撮り始めて変わりました。

それまでは時間は目いっぱい使わないともったいないと思っていたのですが、ファインダーをゆっくりのぞき込むようになると、見える以外のもの、やかんからほこほこ立つ湯気やガラスポットについている水蒸気なんかがダダダッと体の中になだれ込んできたそうです。

ココロの扉がパタン、パタンとものすごい音を立てて次々開いていく感じだったとか。

そしてAさんはスマホを手放しました。もっと見たいモノ、聴きたい音があるからです。どこかに置き忘れていた大切な優しい感覚を連れてきてくれた気がしています