好奇心のまま~瀬谷道子が見つけたこと

インタビューしたり取材して、はっとしたことを紹介。いいこと、楽しいことはまだまだこんなにあるよ

4月22日の「女性作家だ楽しむ読書室」は作家・田村俊子を取り上げました

戦中の女性作家を見ていると、必ず出てくる作家ですが、なかなか手にとる機会のない田村俊子幸田露伴に師事、26歳のときに『あきらめ』でデビュー。青鞜社の創刊号に『生血』を発表するなど多くの作品がある中で『女作者』『木乃伊の口紅』などを取り上げました。

やはり好き嫌いがはっきり分かれる作家かな。男女の恋模様が生々しい。官能を表現しきれているというか。自分を客観視していて、突き詰めていえば、男女というより、美しいもの、自分が思いを寄せるものをつかんでいたとf:id:office2b:20230423221652j:imageいう激情にあふれているように感じます。

表現力のすごさには舌をまくほど。例えば書けなくなったときのことを「肉のついた一言もでてこなければ、血に匂いのする半句も出てこない」など。

時代は第一次大戦勃発、満州事変の起こった頃、女性には働く場がなかった中で、自分の思いをこんなにも率直に自分の言葉で出すなんて、とても考えられないことで、「新しい女」と言われた女性たちに大歓迎されたのもうなづけます。

参加した方たちからは表現のうまさに惹かれたという声が。今に通じる思いをちゃんと文にしているすごさに驚きの声も。もっと作品に触れてみようと、次回7月22日も引き続き田村俊子を取り上げます。作品は『晩香坂の愛』(工藤みよ子著 ドメス出版)